荒野の牧場

観た映画についてメモします。

『劇場版シティーハンター <新宿プライベート ・アイズ>』を観て新宿が眩しく見えたメモ。

シティーハンター』というと自分にとっての思い出はテレビの再放送だ。

日本テレビで夕方に放送していた覚えがあり、それを見ていた。

金曜ロードショーでTVSPが放送していたから、それの宣伝を兼ねた再放送だったのかもしれない。

銃器描写のリアリティの良し悪しは当然分からなかったが、リボルバーの格好良さに痺れたのはこの一作。

人によっては『ルパン三世』だったりするのだろうか。

アクションといったら自分にとっては『シティーハンター』か『あぶない刑事』のどちらかで、

だからガンアクションが好きになったのかもしれない。

 

そんな『シティーハンター』が帰ってきた。

当時の声優陣のまま、当時のテーマ曲を使い、平成が終わる直前に。

Get Wild』の流れ出す前奏に胸が躍った記憶を持つ人なら、行かなきゃいけない。

無根拠な確信と共に新宿にある映画館に足を運びました。

TV版やTVSPは見たことあるのですが、劇場版は初めてですね。観た記憶が無い。

 

これだけ長い眠りから目覚めたのだからさぞや大層な復活をするものかと思ったが、

映画の始まりは仰々しく「復活」を強調することは無かった。

もちろん派手なカーチェイスがあり、爆発、銃弾も炸裂する。

しかしそれは『シティーハンター』という作品においては日常のようなものだ。

その意味ではまるで先週まで放送していたかのような雰囲気すらある。

ただ違うのは街並みが現在の新宿になり、通行人がスマホで撮影をすること。

なのにこの冒頭の一連の流れで『シティーハンター』が始まった感慨が胸に拡がる。

聞き覚えのあるテーマ曲と共に香が登場し、最後にリョウが決めれば、

映画館内の時間はあっという間に「あの頃」に戻ってしまうのである。

そうなってしまえば、あとはあらゆるものを凌駕する。

正直いって話の進め方、特に前半は展開の隙間隙間をギャグで

埋めているような感じがして、あまりノレない部分があった。

しかしそれも今回の場合、あのキャラクター達のやり取りを観ているだけで

どうしようもなく赦せてしまう自分がいた。

クライマックスにはキレを取り戻したかのようにコメディチックなやり取りから

瞬時にカッコいい姿を披露していて、最終的には満足させられる仕上がりだ。

 

物語展開の核とは裏腹に、映画自体は音がかなり重要な位置を占めている。

TV版のOPとEDをふんだんに使って、こちらの集中力が切れかかりそうなタイミングで

「この曲はまさか……!」と身を乗り出させてしまう。

今回改めて聴いて思ったが、『シティーハンター』に使われた楽曲の数々は

とにかく前奏が良い。それが掛かれば一瞬でスイッチが切り替わる。

ただ冷静に考えると「このタイミングで掛けるか?」というものと、

「ここで使うか!」と舌を巻く瞬間の両方あったので、ある意味複雑。

 

変わっていった新宿で、リョウを始めとした個性豊かな登場人物達は

歳を重ねることない(設定的にはTVアニメ版終了後らしい)。
かといってその街に根付く守り神や亡霊のような批評的な描き方もされない。

ただ新宿という街で生き続けていて、それはこれからも変わらない。

彼らは帰ってきた訳では無く、いつも新宿にいたのだ。
そのことを思い出させたという意味で、この映画は成功といっていいのかもしれない。

次の道に繋がることを祈る。


【公式】シティーハンター 第1話 「粋なスイーパー XYZは危険なカクテル」